ファッションの仕事をしていると、ときどき気になることがある。
服はきちんと選んでいる。シャツのブランドも、パンツのシルエットも、靴のケアも。それなのに、メガネだけが「何年前のものだろう」というフレームのままだったりする。
なぜそうなるのか。理由は単純で、メガネをファッションとして認識していないからだと思う。
「必要なもの」と「選ぶもの」の違い
服は「選ぶもの」として認識されている。今日何を着るか、どのブランドのものにするか、このシーンにはどれが合うか、と自然に考える。
でもメガネは違う。多くの人にとってメガネは「視力を矯正するために必要なもの」だ。だから「視力に合っているか」「壊れていないか」という基準で選ばれる。ファッションとしての選び方をする前に、機能性の話で完結してしまう。
これは眼鏡業界が長年そういうアプローチをしてきた結果でもある。度数の話、UV対策の話、ブルーライトカットの話。どれも機能の話だ。「このフレームをかけたらどう見られるか」という視点で語られることは少ない。
でも実際は、顔に一番近いアイテムだ
少し立ち止まって考えてほしい。
服は体を覆うが、顔には届かない。靴は足元にある。バッグは手に持つ。でもメガネは、あなたの目のすぐ隣にある。初対面の人が一番最初に見る、顔の印象を直接左右するアイテムだ。
フレームの形で顔の輪郭の印象が変わる。色で与える雰囲気が変わる。素材で醸し出す空気感が変わる。これだけ顔の印象に直結しているのに、後回しにしているのはもったいない。
「似合うかどうか」より「どう見られたいか」
メガネを選ぶとき、多くの人は「これは似合いますか?」と聞く。でもスタイリングの仕事をしていると、その問いには答えにくい。
なぜなら、「似合う」というのは曖昧な基準だからだ。何かに似合う、ということは、ある文脈の中で自然に見える、ということでしかない。
それよりも「その場でどう見られたいか」から考えた方が、選び方がはっきりする。
- 初対面のクライアントに「信頼できる人」と感じてもらいたい
- 休日は「センスのある大人」として過ごしたい
- 大切な席では「品のある人」という印象を残したい
その目的から逆算してフレームを選ぶと、「なぜそれを選ぶか」の理由が自分の中に生まれる。そうなったとき初めて、メガネは「後回しにするもの」ではなくなる。
シーンから選んでみると、そのイメージが具体的になります。
